大きな木

　夫のこと。
　この日記では、影が薄いどころか、ほとんど登場しないので、「もしかしてすずきさんはシングルマザーか？」と思われる方もいるかもしれないが、いるんです、トラちゃんという夫が。
　昨夜は、夫、私、二女、長女の順に眠って、娘二人が眠りについたのが恐らく深夜の0時ごろ。なので、今朝は、起こさずに、夫婦ふたりで静かに朝ごはんを楽しんだ。話題はほとんど、年頃の娘たちのこと。
　夫はとても無口だけれど、日本史、とくに戦国時代と、政治・経済、山の話になると、だれかが止めない限り、いつまでも語っている。だから、質問するにはタイミングが非常に大切。
　彼は通常、家のパソコンで、図面を描く仕事をしている。仕事が少なくて、まだ手元にお小遣いが残っているときは、それをさらに増やすために、「ちょっと行ってきます」と、「パチ子さん」のところへ行く。先日は、二女の通学定期代（約13000円）を、それでポンっと出してくれた。そして今日は、私の通勤定期代をお願いして、朝、送り出した。
　彼は体が弱い。
　だけど、とてもやさしい。
　娘二人は彼が40歳をまたいで年子で生まれたので、夫と娘たちは「相思相愛」。夫は娘たちがかわいくて仕方ないようだし、娘たちも、（おじいちゃんと間違われることが稀にあるにしても）やさしいお父さんが大好き。最近、彼女らは、夫に、足裏マッサージをしてもらっている。
　よその夫のようには稼いでいないし、体も弱いし、誕生日毎に気のきいたプレゼントをしてくれるわけでもない。それでも、夫は、私や娘たちにとって、「大きな木」。
　裏の公園のほぼ真ん中に、大きな銀杏の木がある。台風がきてもビクともしない。サワサワと大きな音を立てながら、風に身をまかせてはいるけれど、その、大きな木は、けっして倒れることがない。