鰤の照り焼き

　GWだ。晴天続きで気持ちがいい。ということで、今日は休日でもあるし、久しぶりにランチビールを飲んだ。いい肴はなかったんだけれど、大好きな「さまあ～ず」の番組の撮り溜めが一杯あったので、それをつまみに、長女と一緒にゲラゲラ笑いつつ。
　単発の仕事はしているものの、現在、基本は専業主婦の私。時間があると思うと、やるべきことをやらずにダラダラと過ごしてしまい、いいことも考えなくなる、というのがこのひと月でよくわかった。
　で、久しぶりに、絵本コンクール向けの原稿に向かった。大きな絵を描くのは気持ちがいい。失敗すればそれなりにリスクは高いのだけれど、失敗を回避しながら考え過ぎるのも、なんだかしゃくである。まあ、時間はいっぱいあるので、今は失敗を恐れずに、思いっきりのびのびと描いている。そうして描きあがった絵は、繊細さはないものの、見ていて気持ちがいいものなのだ。
　ところで、最近、夫がとうとう、というか、ついに、というか、ダイエットを始めた。基本的には家族と同じものを食べているのだが、量は腹八分目で箸を置き、ビールのおかわりをしなくなった。それどころか、350ｍｌ缶のを少し（意識的に）残すようになった。スナックはもう、ここ2ヶ月ぐらいは、家計と健康のために、私が買わなくなったし。まあ、何かのお祝い事の時には出すけれど。
　もともと、縦横に大柄な男なので、そんなちょっとした心がけだけで、一週間で2ｋｇほど減った。私のように、食べることに関してマメだと、つい、おつまみを一杯作ってしまって、ダイエットにならないのだけれど、彼は自分では料理をしないし、我が家は寝る時間が早いので（9時消灯、10時には就寝）、寝てしまえば、あとは朝を迎えるだけ。ずるずるデザートや夜食はとらないですむのだ。
　最近は私の時間があるので、時間のかかる魚料理も頻繁に出している。先週は、鰤の照り焼きを作ってみた。自分で作るのは恐らく人生で2度目だ。たったの。初めて食べたのは、長女を出産した産院。お産直後のまだ分娩台から一歩も動いちゃいけなかった時間帯だった。激しい陣痛が始まったのが、お昼の12時少し前で、もう、何も口にできないまま分娩室に入ったのだ。「ひと仕事」を終えて、いろいろあと処理を看護士さんがして下さったあと、「おなかすいたでしょう？」と分娩台に乗せてくれたのが、鰤の照り焼きと白いご飯、つけものに味噌汁だった。
　それまで私は、焼き魚というのがあまり好きではなかったのだけれど、とにかくおなかがすいていたし、重労働のあとだったので、本能的に「とにかく栄養をつけなければ」と思って、何も考えずにいただいた。そして、それはとてもおいしい食事だった。ふつうに自分で作ったのではなく、「ひと仕事」終えた後、ひとが作ってくれて運んでくれた食事だったから、よけいに幸せを感じた。
　その1年4ヵ月後に二女を産んでからは、ひたすら子育てと仕事に忙しく、じっくりと魚料理を自分で作って味わう余裕なんてなかったのだ。どうしても、手軽で子供たちも喜ぶ肉料理に偏りがちだった。
　いまでも子供たちは魚料理だと「ふ～ん」と、あまりテンションが上がらないが、この鰤の照り焼きはとても好評だった。今夜は大人はさんま、娘たちは残念ながら鶏の唐揚げ。まあ、いつか、日本酒を一緒に飲むようになって、おいしい焼き魚を一緒に食べに行けば、そのよさをわかってくれるだろう。