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毎日は無理だけど、毎週ならなんとか
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 もう時効だと思うので書くことにする。約2年前のことだ。
 それまで在宅で仕事をしていた夫が外で働くことになり、業種の関係で、入社早々いきなり残業の日々が続いた。私も残業の多い立場で、当時小6と小4の娘たちが眠りについてから、やっと親のどちらかが帰宅するような毎日だった。
 ある朝、次女がランドセルをしょって登校する寸前に、声を上げて泣き出した。学校でつらいことがあるわけではなく、甘える相手がいなくて、ついに幼い心が切れてしまったようだ。
 親ばかりが忙しくて頑張っている、と思い込んでいたけれど、子供たちはもっとつらい思いをしていた、と、愚かな母親は彼女が泣くことで、やっと気がついた。
 その日も、相変わらず仕事は山積みだったけれど、休んだところで翌日の仕事が増えるだけで、誰かに迷惑をかけるわけでもない。残業つづきで遊ぶ暇もなく、幸か不幸か手元には余るほどの小遣いがあった。
 「よし、今日は○○ちゃんも、かあちゃんも、おさぼりしよう!」
 次女のランドセルを下ろさせ、顔を洗うように言い、私はTシャツとジーンズに着替えた。「ちょっと体調が悪くて・・・申し訳ございません」。受話器を置いたら、なんだか私のほうが元気になってきた。
 向かったのは上野動物園。出かけに、平日も人気でなかなか入れない寿司屋に寄り、好きなネタのお寿司を気の済むまで食べさせた。まだ昼前だったけれど、私は中びん1本だけ、ビールをいただいた。そのくらい、思いっきり羽根を伸ばしたかった。
 目的地に到着。パンダが大好きな次女は、もちろん真っ先にパンダ舎へ。平日の昼過ぎだけあって、殆ど並ばずに、間近でじっくりとパンダを見ることが出来た。自分でカメラを構えてシャッターを切り、私に振り返ってにっこり。本当なら学校にいるはずだ、ということをまるで考えていない笑顔だった。
 売店で焼きとうもろこしを買う。次女は口の周りをしょうゆでベトベトにしながら、夢中でかぶりついている。私はコーヒーを飲みながら、その様子を見ていた。それだけで、ここのところの忙しさからくる疲れが、すっと抜けるようだった。
 動物園を出て、ゆっくり帰ろうと思ったら、不忍池の白鳥ボートに乗りたいと、彼女が言う。ふだん、そんな風に甘えることはないのに、地団駄まで踏んで。私もそういう乗り物は初めてなので、たまにはいいかな、と、乗ってみることにした。「今日はお仕事、お休みですか?」と、係の人に聞かれ、「いえ、親子で学校と仕事をさぼってきました」と答えた。彼は「それは素敵ですね。楽しんでいってください」と。
 今でも、あの日のはしゃぐ彼女の様子を思い出すと、胸に温かいものが広がる。と同時に、もうそんな風に甘えてくれる日は来ないのではないか、というすっぱい想いもにじんでくる。
 この春、次女は中学生になる。休日は友達とカラオケに行ったり、春休みなどは子供たちだけでディズニーランドに行こうとしたり、と、もう母親のことなど振り返らなくなってしまった。心置きなく仕事に打ち込めて、休日も楽になった反面、もう戻れない日々を想い、せつなくなる。次の夢は、仕事を始めた彼女と、働くことの楽しさと苦さを語り合いながら、カウンターで飲むことかな。
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プロフィール
HN:
May
性別:
女性
職業:
派遣社員、イラストレーター
趣味:
読書・お酒・ガーデニング
自己紹介:
派遣社員をしながら、絵本作家目指して、年1回、コンクールに応募しています。
【お知らせ】
2010年10月17日からしばらく日記を休んでいましたが、このたび、絵本のコンクールへの応募が無事済みましたので、2011年6月13日から再開いたしました。またよろしくお願いしますね。
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